日本人の食生活において欠かせないメニュー、カレー。
「週1で必ず食べる！」や「朝食でも歓迎！」など、カレーが大好きな人は多く、日本中どこに行っても食べられる料理です。日本人にとっては子供のころから慣れ親しんだ、もはや国民食とも言える存在でしょう。
カレーには実に多くの種類があり味わいや具材もさまざまですが、日本でカレーが広まった経緯や歴史を知っている方はあまり見かけません。
カレーはなぜこれほどまでに愛され、日本人の胃袋を掴んで離さないのでしょうか。
ここでは、日本におけるカレーの歴史や、ここまで人気となった理由を学んでいきたいと思います。
あわせて、東京のカレー激戦エリアで人気のカレー店をエリア別で紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本のカレーの歴史
日本に今のカレーが伝わったのは、江戸時代は幕末ごろと言われています。その後、明治に入り、物理学者の「山川健次郎」が、アメリカ留学へ向かう船上でカレーを食べました。
その美味しさが評判を呼んだことから、日本でも作られるようになったと言います。
カレーが伝わったのは、当時で言う料理のレシピ本。陸軍の昼食メニューに採用されてからさらに人気となり、徐々に浸透していきました。
実は、日本におけるカレーは、インドから直接伝わったものではありません。インドを植民地にしていたイギリス人がカレーを自国に持ち帰り、イギリス風にアレンジしたものが伝わったとされています。
そのため、当時の日本では欧風の料理として重宝されました。
その後明治に入り、肉食が解禁されてからは一気にカレーが浸透していきます。
「ライスカレー」として洋食専門店がメニューに取り入れるようになってから数年後には、市販の国産カレー粉も登場。徐々に庶民にも受け入れられるようになっていきました。
日本人がカレーを好きな理由
幕末から明治にかけて伝わったカレーは、なぜこれほどまでに人々に受け入れられるようになったのでしょうか。
ごはんに合う
日本でカレーと言えば、白米と一緒に食するイメージの強い料理です。カレーは米との相性が良く、発祥のインドでも米と一緒に食する風習があります。
本格インドカレーを提供するカレー店では、白米の代わりにナンやチャパティなどが使われることもありますが、やはりごはんと一緒に食べるカレーは親しみがあり安心できる存在。
白米と一緒に食しやすい点が日本に広まった理由のひとつと言えるでしょう。
家庭で気軽に作れる
明治中期に国産カレー粉の製造・販売が開始されてから、多くの国内メーカーが日本人の好みに合うカレー粉の研究を進めてきました。
昭和に入り、料理に使いやすい固形ルーが誕生してからは、学校給食や家庭でもカレーがつくられるようになります。
肉と野菜を煮込んでルーを入れるだけで本格的なカレーができる固形ルーは、主婦層を中心に瞬く間にブームに。多くの家庭で食されるようになり、いつしかカレーは「母の味」になっていったのです。
子供の頃から食べている
美味しいカレーが「母の味」「おふくろの味」と言われるように、日本人が小さなころから食べているカレーは、安心感のある料理のひとつです。
学校給食のメニューとしても親しまれることから、定番の料理といっても過言ではありません。
また、学校や家族で「みんなと一緒に食べる」という楽しい思い出もまた良いイメージを生み出しています。カレーが好きな日本人が多い理由には、子供時代の思い出も影響しているのではないでしょうか。
アレンジや味の調整がしやすい
カレーは好きな野菜や肉を組み合わせて作る料理です。牛肉、豚肉、鶏肉と好みに合わせてお肉を変えられますし、食材によってそれぞれ違った味わいになります。時には肉を入れずに野菜だけで作るのも自由です。
煮込む野菜を変えたり、好みに合わせて辛さを調整したりと、自分好みに味をアレンジしやすい料理でもあります。
肉や野菜の組み合わせによって、アレンジできるカレーは無限大なのです。このように味の調整のしやすさも「毎日でも食べたい」と言わしめる要因のひとつです。
日本のカレーとインドカレーの違い
最近では日本でもインド風のカレーやタイ風カレー、スリランカカレーなど、国や地域によって特色のある多彩なカレーを食べられるようになりました。
それでもやはり、カレーと言えばインドを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、インドのカレーは、日本人の想像するカレーやカレーライスといった料理とは、少し概念が異なります。日本のカレーとインドカレーの決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
ざっくり言えばインドはすべてがカレー
インドで言う「カレー」とは、スパイス（香辛料）を使った料理の総称です。そのため、スープでも野菜炒めでも、スパイス（香辛料）が使われていればすべてカレー。ごはんに合う「あのカレー」だけではないのです。
そのため、スパイスを1種類しか使用しない料理でも、たくさんのスパイスを使う料理でもカレーとなります。
日本で言う定番のカレーは、数種類のスパイスがブレンドされたもの。スパイスを1種類のみ料理に使うだけでは、日本ではカレーという認識は生まれません。
スパイス調合の奥深さが知られてきた
ただ、最近では現地のカレーのように、自分好みにスパイスを調合する人も増えてきました。特に若い世代ほどスパイスを楽しむ傾向にあり、食品メーカーから販売されるカレールーの形も変わりつつあります。
複数のスパイスがカレーキットになっていたりさまざまな地域のカレールーが販売されていたりと、家庭用カレーの商品も消費者の嗜好の多様化に合わせはじめています。
【エリア別】カレー激戦地・東京の有名カレー店まとめ
ここからは、東京都内でも特にカレー激戦区と言われる神田・吉祥寺・下北沢でおすすめのカレー店をエリアごとに紹介していきます。
まだ行ったことのないカレー店がある方は、ぜひチェックしてみてください。
神田・神保町エリア
秋葉原から神田神保町にかけるエリアは近くに複数の大学があり、多くの学生が集まるエリアです。カレーは本を片手にスプーン1本で食べられたことから、学生をターゲットにしたカレー店がたくさんできるようになりました。学生向けのリーズナブルなカレー店や老舗カレー店が今も点在しています。
ボンディ
神田のカレー店と言えばここを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ソースポットで運ばれてくるカレーを自分でライスに流し入れる瞬間が、「まさに至福のひととき」というファン多数。ゴロっとしたお肉の美味しさはもちろん、カレーの前に提供されるポテトも印象に残ります。食べ方を自分好みにアレンジできる点も人気の理由のひとつです。
キッチン南海
見た目が黒いカレーで知られる老舗、キッチン南海。その見た目とは裏腹に、あとに残らないさわやかなコク深さに中毒者が続出。リピーターが多く、常に行列の絶えないカレー店です。2020年に一度閉店を迎えましたが、復活の声を受けて移転再オープンしています。
ギャラリー珈琲店 古瀬戸
アートを展示しているギャラリー併設の喫茶店で提供されるカレーです。黄色いサフランライスといただくカレーは王道の欧風カレーで、バターの香り高い口当たりの良い味わいです。人気メニューはエビカレーのサラダセット。古本屋を巡ったあとに、休憩がてらに訪れるファンも多くいます。
吉祥寺エリア
住みたい街ランキングの常連としても知られる吉祥寺エリア。神田と同じく、大学をはじめとした教育機関が多かったことから、カレー店が人気の若者の多い街です。
まめ蔵
レトロな雰囲気のレンガ壁が目を引く、創業から44年以上の老舗カレー店です。
玉ねぎと10種類以上のスパイスをじっくり炒め、赤ワインで煮込んだ濃厚なルーは、奥行きのある味わい。トマトやナスなど、野菜の色どりがきれいな野菜カレーが人気で、あまり辛さはありませんがやみつきになると評判です。
COFFEE HALL くぐつ草
創業から40年、こだわりのコーヒーを提供する喫茶店として知られる老舗です。香り高いドリップコーヒーとともに出されるカレーは、吉祥寺三大カレーのひとつとも言われています。10種類のスパイスは、香りが立つよう丁寧に炒めた後、麻袋に入れてからじっくりと煮込んでいるとのこと。カレーとビールのセットもあり、休日にビールを飲みながらゆったりと時間を過ごすのもおすすめです。
下北沢エリア
音楽や演劇などのカルチャーが集まる下北沢エリアは、こだわりのスパイスカレーを出す本格的な専門店が多いことで有名です。毎年秋には「カレーフェスティバル」が開催されており、各店が
味を競い合うことから、このエリアのカレー店はレベルが高くなったと考えられています。
般゜若PANNYA CAFE CURRY
真っ黒な豚カツが、何ともインパクトのあるカレー専門店。衣は決して焦げているのではなく、イカ墨が使用されているとのこと。小麦粉を使わないカレールーは南インド風のシャバシャバとした質感。さっぱりと食べられてクセになると、下北沢に訪れる度に足を運ぶリピーターも多いといいます。
茄子おやじ
間接照明がおしゃれで落ち着いた雰囲気を醸し出しているカレー店。下北沢で愛され続けて20年以上、変わらぬ美味しさを提供しています。リピーターが多く、常に人が絶えない人気店。大きめのお肉や野菜は食べ応えがありながら、まろやかな辛さで誰でも食べやすい味わいです。
ムーナ
本格的な南インド料理を味わえるカレー専門店です。旬の魚を使った海鮮カレーの人気が高く、お酒も提供していることから「呑めるカレー店」として人気。
日本では珍しいインドビールも飲むことができます。ビル5階にあり見つけにくいですが、中はビビッドでインパクトのある内装。シモキタのおしゃれな雰囲気の中、カレーとお酒を楽しめる名店です。